眠りのコラム

上級睡眠健康指導士が母校で伝えた「眠りと人生の話」|高校での睡眠講座

上級睡眠健康指導士が母校で伝えた「眠りと人生の話」|高校での睡眠講座

柏葉探求セミナー
Shaer
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ソサンスタイル寝室デザイン研究所は布団屋としてラテックスマットレスを販売する一方で、
私は 上級睡眠健康指導士 として、学校や企業で睡眠についてお話しする機会もいただいています。

2025年12月1日、母校である 千葉県立柏高等学校 の公式キャリア教育事業「柏葉探求セミナー」に、卒業生講師の一人として登壇しました。

このセミナーは、生徒一人ひとりが「自分の人生をどう生きるか」を考えるために平成21年度から続いている学校の大切な取り組みです。
当日は1・2年生あわせて600名以上が参加し、20名の卒業生がそれぞれの専門分野からメッセージを届けました。

私が担当した講義のタイトルは、「ぐっすり眠って東大にいけ!」

少し刺激的なタイトルですが、伝えたかったのは受験テクニックではありません。
睡眠を整えることが、学力だけでなく、集中力や判断力、そして将来の選択肢そのものを広げてくれる、という“人生の土台”の話でした。

この記事では、その講義で伝えた内容と、60名以上の生徒から寄せられたアンケートの声をもとに、「眠りと人生」の深い関係についてまとめていきます。

柏葉探求セミナー(千葉県立柏高等学校)

平成21年度から続く、柏高校の公式キャリア教育

柏葉探求セミナーは、千葉県立柏高等学校が平成21年度から継続して実施している公式のキャリア教育プログラムです。

このセミナーの大きな特徴は、毎年 同校の卒業生が講師として登壇し、それぞれの専門分野や人生経験をもとに生徒へメッセージを届けている点にあります。

2025年度は、卒業生20名が講師として参加し、「夢と感動と未来を拓くメッセージ」を共通テーマに、多様な講座が同時に行われました。

対象は1・2年生あわせて600名以上。
生徒は20の講座に分かれ、50分間の講義を2コマ受講する形式で実施され、普通教室や特別教室を使って本格的に行われる、学校行事として位置づけられたセミナーです。

進路説明会ではなく、「自分の将来をどう描くか」「どんな生き方を選ぶのか」を主体的に考える時間として、長年にわたり大切に続けられている取り組みです。

卒業生が講師

柏葉探求セミナーで講師を務めるのは、いずれも 柏高校を卒業した先輩たちです。
それには、はっきりとした理由があります。

卒業生の話は、生徒にとって「遠い成功者の話」ではありません。
ほんの数年、あるいは十数年先の“自分の姿”として想像できる存在だからこそ、言葉が現実味をもって伝わります。

また、卒業生の話には、

  • 迷ったこと
  • 失敗したこと
  • 遠回りした経験
  • 想定外の選択をした理由

といった、教科書には載らない“人生の選択”が含まれています。

正解が一つではない時代において、こうしたリアルな経験談は、生徒が自分自身の価値観や判断基準をつくるための大きなヒントになります。

だからこそ柏葉探求セミナーは、「こうなりなさい」と答えを示す場ではなく、「どう生きたいかを考える材料を増やす場」として、卒業生講師という形をとり続けているのだと思います。

「ぐっすり眠って東大にいけ!」という講義タイトルに込めた意味

東大はゴールではない

「ぐっすり眠って東大にいけ!」
このタイトルを見て、受験テクニックや一夜漬けの必勝法を想像した生徒もいたかもしれません。

けれど、講義の中で最初に伝えたのは、「東大はゴールではない」ということでした。

東大という言葉を使ったのは、特定の大学を目指してほしいからではありません。
睡眠を整えることで、

  • 学力
  • 集中力
  • 判断力

といった 人生の選択肢を広げるための土台が整う、そのことを、できるだけ分かりやすく伝えたかったからです。

睡眠は、生まれつき決まっている才能ではありません。
生活習慣を見直すことで、誰でも後天的に伸ばすことができる力です。

「今の成績」や「これまでの結果」で、自分の可能性を決めてしまう必要はない。
眠りを整えることで、本来持っている力をきちんと発揮できる状態に近づける。
それが、このタイトルに込めた一番のメッセージでした。

睡眠は最強のトレーニング

講義の中で、私は睡眠を「最強のトレーニング」と表現しました。

理由はシンプルです。睡眠中、私たちの体と脳では、

  • 記憶の整理・定着
  • 集中力の回復
  • 感情やメンタルの安定

といった、日中の努力を“結果につなげる作業”が行われているからです。

どれだけ勉強しても、
どれだけ練習しても、
睡眠が不足していれば、
その努力は十分に活かされません。

逆に言えば睡眠を整えることで、同じ努力でも 成果の出方は大きく変わります
私はこれを、「頑張らなくていい」という意味ではなく、「努力を効率化する力」として伝えました。
限られた時間の中で、どうすれば自分の力を最大限に引き出せるのか。
その答えの一つが毎日の眠りにある。

高校生にとっても社会に出る大人にとっても、睡眠はもっとも身近でもっとも効果の高い自己投資だと考えています。

講義で伝えた睡眠の核心(高校生向け)

記憶には2つの種類がある

講義の中で、まずお伝えしたのが「記憶には2つの種類がある」という考え方です。

私たちは眠っている間、ただ体を休めているわけではありません。
脳の中では1日の出来事や学習内容が整理され、必要な情報が記憶として定着していきます。

その際に使われるのが、次の2つの記憶です。

  • 知識で覚える記憶
    歴史の年号、英単語、公式など、言葉や情報として覚える記憶
    → 主にノンレム睡眠のときに整理される
  • 身体で覚える記憶
    スポーツの動き、楽器の演奏、ひらめきや応用力
    → 主にレム睡眠のときに育つ

この2つは、どちらが大事というものではありません。
勉強にも、部活動にも、両方が必要です。

つまり睡眠時間が足りなかったり、眠りが浅かったりすると「覚えたつもり」が増えてしまう。

講義では「寝ることは、サボることではない」 ということをしっかり伝えました。

朝の3原則が、1日のすべてを決める

もう一つ、特に強調したのが「朝の過ごし方」です。
実は良い睡眠をつくる一番のポイントは、夜ではなくにあります。
講義では次の「朝の3原則」を紹介しました。

1つ目は、
毎日同じ時間に起きること
休日に寝だめをするとその日夜の睡眠ホルモン(メラトニン)分泌が遅くなり寝付きにくくなります。

2つ目は、
朝の光を浴びること
目から入る光が、体内時計をリセットし、夜に眠くなるリズムを整えてくれます。

3つ目は、
朝食をきちんと食べること
特にタンパク質を摂ることで、夜の眠りを促すホルモンの材料がつくられます。

この3つを意識するだけで、
「寝つきが良くなる」
「朝の目覚めがラクになる」
と感じる人は少なくありません。

生徒たちには、
夜を頑張るより、朝を整えよう
というメッセージとして伝えました。

高校生にとって理想的な睡眠時間とは

最後に触れたのが、高校生にとっての理想的な睡眠時間です。

「何時間寝ればいいのか?」
これは、生徒からも非常によく出る質問です。

結論としてお伝えしたのは、16〜18歳の高校生年代では、8〜10時間が理想 ということ。

これは感覚の話ではなく、国内外の睡眠研究や専門機関でも示されている目安です。

大切なのは、「短くても気合で何とかする」ことではなく、自分の脳と体が最大限に働く時間を確保すること

睡眠時間を削って頑張るほど記憶は定着しにくくなり、集中力も判断力も落ちてしまいます。

講義では、
「授業は一番大切なインプットの時間」
という言葉で締めくくりました。

しっかり眠れていれば授業が分かりやすくなり結果として自分の時間も増えていく。

睡眠は高校生活をラクに、そして充実させるためのもっとも身近な習慣だとお話ししました。

60名以上の生徒アンケートから見えた変化

今回の講義後、受講した生徒から60名以上のアンケート(感想)が寄せられました。

いずれも、「面白かった」「分かりやすかった」といった表面的な感想にとどまらず、
自分自身の生活や考え方を振り返る内容が多かったことがとても印象的でした。

ここでは、そのアンケートから見えてきた生徒たちの変化を、いくつかの視点で整理します。

睡眠に対する認識が大きく変わった

もっとも多く見られたのが睡眠に対する捉え方の変化です。

講義前は、
「眠る=疲れを取るもの」
「眠る=勉強時間を削るもの」
と考えていた生徒が少なくありませんでした。

それがアンケートでは、

  • 睡眠は人生の土台だと感じた
  • 睡眠が学力や集中力だけでなく、気持ちにも影響すると分かった
  • 今まで一番おろそかにしていたのが睡眠だった

といった声が、複数の生徒から寄せられました。

睡眠を“後回しにするもの”から“大切にするもの”へ。
この意識の転換こそが今回の講義で最も大きな成果だったと感じています。

「今日から変えたい」という行動意欲が生まれた

アンケートの中で特に価値が高いと感じたのは具体的な行動に言及する感想が多かったことです。

  • 起きる時間を一定にしようと思った
  • 休日の寝だめをやめたい
  • 夜のスマホの使い方を見直したい
  • 朝の過ごし方を意識したい

こうした内容は、
単に話を聞いて理解しただけでなく自分の生活に落とし込もうとしている証拠です。

60名以上という人数の中でこれだけ具体的な行動意欲が見られるのは講義としては非常に良い反応だと受け止めています。

知識よりも「考え方」が残った講義

もう一つ印象的だったのは、専門用語や数字そのものよりも考え方が心に残ったという感想が多かった点です。

  • 睡眠は努力を支えるものだと分かった
  • 頑張り方にも順番があると気づいた
  • 無理を続けることが正解ではないと感じた

これらはテストで点を取るための知識ではありません。

しかし高校生活だけでなく、その先の大学生活や社会人生活においても長く役立つ視点だと思っています。

なぜ布団屋が睡眠講座をしているのか

ここまで読んで「なぜ寝具を扱う人が、ここまで睡眠の話をするのか」と感じた方もいるかもしれません。
最後に、その理由について少し触れておきたいと思います。

商品を売る前に、睡眠を理解してほしい

これまで長く寝具の仕事に携わる中で私は何度も同じ悩みを聞いてきました。

  • 腰が痛い
  • 疲れが取れない
  • 朝起きるのがつらい

その多くはマットレスや枕だけで解決できる問題ではありません。

生活習慣や眠り方が整っていない状態で、寝具だけを替えても満足にはつながりにくい。

だからこそ私は商品を勧める前に、睡眠そのものを理解してもらうことを大切にしています。

上級睡眠健康指導士としての立場

上級睡眠健康指導士としての役割は難しい専門知識を伝えることではありません。

  • 年代や立場に合わせて
  • その人の生活に合う形で
  • 実践できる言葉に翻訳すること

学校でも企業でも共通して意識しているのは、
「今日から一つでも変えられること」を持ち帰ってもらうことです。

今回の柏葉探求セミナーはその姿勢が生徒たちにも伝わったとても良い機会だったと感じています。

まとめ|眠りを整えることは人生の選択肢を増やすこと

眠りは勉強や仕事のためだけのものではありません。

自分の力を正しく発揮し、無理なく前に進むための、人生の土台です。

高校生であっても社会人であっても、眠りを見直すことで選択肢は確実に広がっていきます。

睡眠について考えるきっかけが必要な方は、
学校・企業・団体を問わず、
お気軽にご相談ください。

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